(特別勘定の経理)
10‐1‐1 法第43条及び第48条《国庫補助金等に係る特別勘定の金額の損金算入等》に規定する特別勘定の経理は、積立金として積み立てる方法のほか、仮受金等として経理する方法によることもできるものとする。
(資産につき除却等があった場合の積立金の取崩し)
10‐1‐2 圧縮記帳による圧縮額を積立金として経理している資産につき除却、廃棄、滅失又は譲渡(以下10‐1‐2において「除却等」という。)があった場合には、当該積立金の額(当該資産の一部につき除却等があった場合には、その除却等があった部分に係る金額)を取り崩してその除却等のあった日の属する事業年度の益金の額に算入するのであるから留意する。
(注) 当該譲渡には、適格分社型分割、適格現物出資又は適格現物分配による資産の移転は含まれないのであるから留意する。
(積立金の任意取崩しの場合の償却超過額等の処理)
10‐1‐3 圧縮記帳による圧縮額を積立金として経理している法人が当該積立金の額の全部又は一部を取り崩して益金の額に算入した場合において、その取り崩した積立金の設定の基礎となった資産に係る償却超過額又は評価損の否認金(当該事業年度において生じた償却超過額又は評価損の否認金を含む。)があるときは、その償却超過額又は評価損の否認金の額のうち益金の額に算入した積立金の額に達するまでの金額は、当該事業年度の損金の額に算入する。
(圧縮記帳の適用を受けた固定資産の移転を受けた場合の取得価額)
10‐1‐4 合併法人等(合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人をいう。以下この章において同じ。)が適格組織再編成(適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配をいう。以下この章において同じ。)により被合併法人等(被合併法人、分割法人、現物出資法人又は現物分配法人をいう。以下この章において同じ。)において圧縮記帳の適用を受けた固定資産の移転を受けた場合には、当該固定資産に係る積立金の金額の引継ぎを受けたかどうかにかかわらず、当該被合併法人等において当該固定資産の取得価額に算入されなかった金額は、当該固定資産の取得価額に算入されないことに留意する。
(保険金等の範囲)
10‐5‐1 法人が支払を受ける保険金、共済金又は損害賠償金(以下この節において「保険金等」という。)で法第47条第1項又は第5項((保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入))の規定の適用があるのは、同条第1項に規定する所有固定資産(以下この節において「所有固定資産」という。)の滅失又は損壊(以下この節において「滅失等」という。)に基因して受けるものに限られるのであるから、たとえ所有固定資産の滅失等に関連して支払を受けるものであっても、次に掲げるような保険金等についてはこれらの規定の適用がないことに留意する。
(1) 棚卸資産の滅失等により受ける保険金等
(2) 所有固定資産の滅失等に伴う休廃業等により減少し、又は生ずることとなる収益又は費用の補塡に充てるものとして支払を受ける保険金等
(立竹木の保険金等に係る圧縮記帳)
10‐5‐1の2 法人が、その有する立竹木の滅失等により支払を受けた法第47条第1項《保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》に規定する保険金等をもってその滅失等をした立竹木に代替する立竹木を取得した場合には、当該立竹木につき同項又は第5項の規定の適用を受けることができるものとする。ただし、次に掲げる立竹木の滅失等により支払を受けた保険金等をもって取得した立竹木に代替する資産については、これらの規定の適用はないものとする。
(1) 法人が、保険金等の支払の基因となる滅失等のあった日(以下10‐5‐1の2において「基因日」という。)前1年以内に他から購入した立竹木で販売計画等からみてその購入後おおむね1年以内に転売又は伐木されることが確実と認められるもの
(2) 原木販売業、製材業、製紙業、パルプ製造業等を営む法人が、基因日前1年以内に他から購入した立竹木((1)に該当する立竹木を除き、その購入をした日において通常の伐期に達していたものに限る。)
(圧縮記帳をする場合の滅失損の計上時期)
10‐5‐2 所有固定資産の滅失等があった場合において、その滅失等により支払を受ける保険金等の額につき法第47条から第49条まで《保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入等》の規定の適用を受けようとするときは、当該滅失等による損失の額(当該滅失等により支出した経費の額を含む。)は、保険金等の額を見積り計上する場合を除き、当該保険金等の額が確定するまでは仮勘定として損金の額に算入しないものとする。ただし、その支払を受ける保険金等が損害賠償金のみである場合には、この限りでない。
(注) 適格組織再編成に係る被合併法人等が有する固定資産の滅失等があった場合において、その滅失等により支払を受ける保険金等の額につき、当該適格組織再編成に係る合併法人等が法第47条から第49条までの規定の適用を受けようとするときの被合併法人等においても、同様とする。
(同一種類かどうかの判定)
10‐5‐3 法第47条第1項又は第5項《保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》の規定の適用上、法人が取得等をした固定資産がその滅失等をした所有固定資産と同一種類の固定資産であるかどうかは、耐用年数省令別表第1に掲げる減価償却資産にあっては同表に掲げる種類の区分が同じであるかどうかにより、機械及び装置にあっては減価償却資産の耐用年数等に関する省令の一部を改正する省令(平成20年財務省令第32号)による改正前の耐用年数省令(以下10‐6‐7において「旧耐用年数省令」という。)別表第2に掲げる設備の種類の区分が同じであるか又は類似するものであるかどうかによる。
(代替資産の範囲)
10‐5‐4 法第47条第1項《保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》に規定する代替資産は、所有固定資産が滅失等をしたことによりこれに代替するものとして取得等をされる固定資産に限られるのであるから、例えば滅失等のあった時において現に自己が建設、製作、製造又は改造中であった資産は代替資産に該当しないことに留意する。
(滅失等により支出した経費の範囲)
10‐5‐5 令第85条第1項第1号《保険金等の額》に規定する「所有固定資産の滅失又は損壊により支出する経費」には、その滅失等があった所有固定資産の取壊し費、焼跡の整理費、消防費等のように当該所有固定資産の滅失等に直接関連して支出される経費が含まれるが、類焼者に対する賠償金、けが人への見舞金、被災者への弔慰金等のように当該所有固定資産の滅失等に直接関連しない経費はこれに含まれないものとする。
(2以上の種類の資産の滅失等により支出した共通経費)
10‐5‐6 例えば工場用建物と機械設備が滅失等をした場合のように2以上の所有固定資産が滅失等をした場合において、これらの資産の滅失等により支出した共通の経費があるときは、その共通の経費の額については、保険金等の額の比その他合理的な基準によりこれらの資産に配賦するものとする。
(所有固定資産の滅失等により支出した経費の見積り)
10‐5‐7 法人が所有固定資産の滅失等により保険金等の支払を受けた場合において、まだ焼跡の整理に着手していない等のため当該所有固定資産の滅失等により支出すべき経費の額が確定していないときは、その経費の額を見積って令第85条第1項第1号《保険金等の額》の金額を計算し、当該所有固定資産の滅失等により支出すべき経費の額が確定した場合に、その額が確定した日の属する事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度)においてその確定した経費の額により調整する。
(注) 本文の取扱いにより所有固定資産の滅失等により支出すべき経費の額を見積って圧縮記帳の規定の適用をした固定資産を適格組織再編成により移転した場合には、当該固定資産の移転を受けた合併法人等においてその経費の額が確定したときに、その額が確定した日の属する事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度)でその確定した経費の額により調整する。
(先行取得した代替資産等についての圧縮額の損金算入)
10‐5‐8 法人が保険金等の額が確定する前にその滅失等をした所有固定資産に係る代替資産の取得等をした場合において、当該代替資産につきその保険金等の額が確定した日の属する事業年度において法第47条第1項又は第5項《保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》の規定を適用するときは、その圧縮限度額は、令第85条第1項《保険金等で取得した代替資産等の圧縮限度額》の規定にかかわらず、次の算式により計算した金額とする。
(算式)
(算式)
同項の規定により計算した圧縮限度額 | × |
|