(退職金共済掛金等の損金算入の時期)
9‐3‐1 法人が支出する令第135条各号《確定給付企業年金等の掛金等の損金算入》に掲げる掛金、保険料、事業主掛金、信託金等又は預入金等の額は、現実に納付(中小企業退職金共済法第2条第5項に規定する特定業種退職金共済契約に係る掛金については共済手帳への退職金共済証紙のはり付け)又は払込みをしない場合には、未払金として損金の額に算入することができないことに留意する。
(注) 独立行政法人勤労者退職金共済機構の退職金共済契約の場合にも、その契約に係る被共済者には、その法人の役員で部長、支店長、工場長等のような使用人としての職務を有している者が含まれる。
(社会保険料の損金算入の時期)
9‐3‐2 法人が納付する次に掲げる保険料等の額のうち当該法人が負担すべき部分の金額は、当該保険料等の額の計算の対象となった月の末日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。
(1) 健康保険法第155条《保険料》又は厚生年金保険法第81条《保険料》の規定により徴収される保険料
(2) 旧効力厚生年金保険法第138条《掛金》の規定により徴収される掛金(同条第5項《設立事業所の減少に係る掛金の一括徴収》又は第6項《解散時の掛金の一括徴収》の規定により徴収される掛金を除く。)又は同法第140条《徴収金》の規定により徴収される徴収金
(注) 同法第138条第5項又は第6項の規定により徴収される掛金については、納付義務の確定した日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。
(労働保険料の損金算入の時期等)
9‐3‐3 法人が、労働保険の保険料の徴収等に関する法律第15条《概算保険料の納付》の規定によって納付する概算保険料の額又は同法第19条《確定保険料》の規定によって納付し、又は充当若しくは還付を受ける確定保険料に係る過不足額の損金算入の時期等については、次による。
(1) 概算保険料概算保険料の額のうち、被保険者が負担すべき部分の金額は立替金等とし、その他の部分の金額は当該概算保険料に係る同法第15条第1項に規定する申告書を提出した日(同条第3項に規定する決定に係る金額については、その決定のあった日)又はこれを納付した日の属する事業年度の損金の額に算入する。
(2) 確定保険料に係る不足額概算保険料の額が確定保険料の額に満たない場合のその不足額のうち当該法人が負担すべき部分の金額は、同法第19条第1項に規定する申告書を提出した日(同条第4項に規定する決定に係る金額については、その決定のあった日)又はこれを納付した日の属する事業年度の損金の額に算入する。ただし、当該事業年度終了の日以前に終了した同法第2条第4項《定義》に規定する保険年度に係る確定保険料について生じた不足額のうち当該法人が負担すべき部分の金額については、当該申告書の提出前であっても、これを未払金に計上することができるものとする。
(3) 確定保険料に係る超過額概算保険料の額が確定保険料の額を超える場合のその超える部分の金額のうち当該法人が負担した概算保険料の額に係る部分の金額については、同法第19条第1項に規定する申告書を提出した日(同条第4項に規定する決定に係る金額については、その決定のあった日)の属する事業年度の益金の額に算入する。
(養老保険に係る保険料)
9‐3‐4 法人が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする養老保険(被保険者の死亡又は生存を保険事故とする生命保険をいい、特約が付されているものを含むが、9‐3‐6に定める定期付養老保険等を含まない。以下9‐3‐7の2までにおいて同じ。)に加入してその保険料(令第135条《確定給付企業年金等の掛金等の損金算入》の規定の適用があるものを除く。以下9‐3‐4において同じ。)を支払った場合には、その支払った保険料の額(特約に係る保険料の額を除く。)については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次により取り扱うものとする。
(1) 死亡保険金(被保険者が死亡した場合に支払われる保険金をいう。以下9‐3‐4において同じ。)及び生存保険金(被保険者が保険期間の満了の日その他一定の時期に生存している場合に支払われる保険金をいう。以下9‐3‐4において同じ。)の受取人が当該法人である場合その支払った保険料の額は、保険事故の発生又は保険契約の解除若しくは失効により当該保険契約が終了する時までは資産に計上するものとする。
(2) 死亡保険金及び生存保険金の受取人が被保険者又はその遺族である場合 その支払った保険料の額は、当該役員又は使用人に対する給与とする。
(3) 死亡保険金の受取人が被保険者の遺族で、生存保険金の受取人が当該法人である場合 その支払った保険料の額のうち、その2分の1に相当する金額は(1)により資産に計上し、残額は期間の経過に応じて損金の額に算入する。ただし、役員又は部課長その他特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを被保険者としている場合には、当該残額は、当該役員又は使用人に対する給与とする。
(定期保険及び第三分野保険に係る保険料)
9‐3‐5 法人が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする定期保険(一定期間内における被保険者の死亡を保険事故とする生命保険をいい、特約が付されているものを含む。以下9‐3‐7の2までにおいて同じ。)又は第三分野保険(保険業法第3条第4項第2号《免許》に掲げる保険(これに類するものを含む。)をいい、特約が付されているものを含む。以下9‐3‐7の2までにおいて同じ。)に加入してその保険料を支払った場合には、その支払った保険料の額(特約に係る保険料の額を除く。以下9‐3‐5の2までにおいて同じ。)については、9‐3‐5の2《定期保険等の保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれる場合の取扱い》の適用を受けるものを除き、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次により取り扱うものとする。
(1) 保険金又は給付金の受取人が当該法人である場合 その支払った保険料の額は、原則として、期間の経過に応じて損金の額に算入する。
(2) 保険金又は給付金の受取人が被保険者又はその遺族である場合 その支払った保険料の額は、原則として、期間の経過に応じて損金の額に算入する。
ただし、役員又は部課長その他特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを被保険者としている場合には、当該保険料の額は、当該役員又は使用人に対する給与とする。
(注)
ただし、役員又は部課長その他特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを被保険者としている場合には、当該保険料の額は、当該役員又は使用人に対する給与とする。
(注)
1 保険期間が終身である第三分野保険については、保険期間の開始の日から被保険者の年齢が116歳に達する日までを計算上の保険期間とする。
2 (1)及び(2)前段の取扱いについては、法人が、保険期間を通じて解約返戻金相当額のない定期保険又は第三分野保険(ごく少額の払戻金のある契約を含み、保険料の払込期間が保険期間より短いものに限る。以下9‐3‐5において「解約返戻金相当額のない短期払の定期保険又は第三分野保険」という。)に加入した場合において、当該事業年度に支払った保険料の額(一の被保険者につき2以上の解約返戻金相当額のない短期払の定期保険又は第三分野保険に加入している場合にはそれぞれについて支払った保険料の額の合計額)が30万円以下であるものについて、その支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときには、これを認める。
(定期保険等の保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれる場合の取扱い)
9‐3‐5の2 法人が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする保険期間が3年以上の定期保険又は第三分野保険(以下9‐3‐5の2において「定期保険等」という。)で最高解約返戻率が50%を超えるものに加入して、その保険料を支払った場合には、当期分支払保険料の額については、次表に定める区分に応じ、それぞれ次により取り扱うものとする。ただし、これらの保険のうち、最高解約返戻率が70%以下で、かつ、年換算保険料相当額(一の被保険者につき2以上の定期保険等に加入している場合にはそれぞれの年換算保険料相当額の合計額)が30万円以下の保険に係る保険料を支払った場合については、9‐3‐5の例によるものとする。
(1) 当該事業年度に次表の資産計上期間がある場合には、当期分支払保険料の額のうち、次表の資産計上額の欄に掲げる金額(当期分支払保険料の額に相当する額を限度とする。)は資産に計上し、残額は損金の額に算入する。
(注) 当該事業年度の中途で次表の資産計上期間が終了する場合には、次表の資産計上額については、当期分支払保険料の額を当該事業年度の月数で除して当該事業年度に含まれる資産計上期間の月数(1月未満の端数がある場合には、その端数を切り捨てる。)を乗じて計算した金額により計算する。また、当該事業年度の中途で次表の資産計上額の欄の「保険期間の開始の日から、10年を経過する日」が到来する場合の資産計上額についても、同様とする。
(2) 当該事業年度に次表の資産計上期間がない場合(当該事業年度に次表の取崩期間がある場合を除く。)には、当期分支払保険料の額は、損金の額に算入する。
(3) 当該事業年度に次表の取崩期間がある場合には、当期分支払保険料の額((1)により資産に計上することとなる金額を除く。)を損金の額に算入するとともに、(1)により資産に計上した金額の累積額を取崩期間(当該取崩期間に1月未満の端数がある場合には、その端数を切り上げる。)の経過に応じて均等に取り崩した金額のうち、当該事業年度に対応する金額を損金の額に算入する。
区分 | 資産計上期間 | 資産計上額 | 取崩期間 |
最高解約返戻率50%超70%以下 | 保険期間の開始の日から、当該保険期間の100分の40相当期間を経過する日まで | 当期分支払保険料の額に100分の40を乗じて計算した金額 | 保険期間の100分の75相当期間経過後から、保険期間の終了の日まで |
最高解約返戻率70%超85%以下 | 当期分支払保険料の額に100分の60を乗じて計算した金額 | ||
最高解約返戻率85%超 | 保険期間の開始の日から、最高解約返戻率となる期間(当該期間経過後の各期間において、その期間における解約返戻金相当額からその直前の期間における解約返戻金相当額を控除した金額を年換算保険料相当額で除した割合が100分の70を超える期間がある場合には、その超えることとなる期間)の終了の日まで (注) 上記の資産計上期間が5年未満となる場合には、保険期間の開始の日から、5年を経過する日まで(保険期間が10年未満の場合には、保険期間の開始の日から、当該保険期間の100分の50相当期間を経過する日まで)とする。 |
当期分支払保険料の額に最高解約返戻率の100分の70(保険期間の開始の日から、10年を経過する日までは、100分の90)を乗じて計算した金額 | 解約返戻金相当額が最も高い金額となる期間(資産計上期間がこの表の資産計上期間の欄に掲げる(注)に該当する場合には、当該(注)による資産計上期間)経過後から、保険期間の終了の日まで |
(注)
1 「最高解約返戻率」、「当期分支払保険料の額」、「年換算保険料相当額」及び「保険期間」とは、それぞれ次のものをいう。
イ 最高解約返戻率とは、その保険の保険期間を通じて解約返戻率(保険契約時において契約者に示された解約返戻金相当額について、それを受けることとなるまでの間に支払うこととなる保険料の額の合計額で除した割合)が最も高い割合となる期間におけるその割合をいう。
ロ 当期分支払保険料の額とは、その支払った保険料の額のうち当該事業年度に対応する部分の金額をいう。
ハ 年換算保険料相当額とは、その保険の保険料の総額を保険期間の年数で除した金額をいう。
ニ 保険期間とは、保険契約に定められている契約日から満了日までをいい、当該保険期間の開始の日以後1年ごとに区分した各期間で構成されているものとして本文の取扱いを適用する。
2 保険期間が終身である第三分野保険については、保険期間の開始の日から被保険者の年齢が116歳に達する日までを計算上の保険期間とする。
3 表の資産計上期間の欄の「最高解約返戻率となる期間」及び「100分の70を超える期間」並びに取崩期間の欄の「解約返戻金相当額が最も高い金額となる期間」が複数ある場合には、いずれもその最も遅い期間がそれぞれの期間となることに留意する。
4 一定期間分の保険料の額の前払をした場合には、その全額を資産に計上し、資産に計上した金額のうち当該事業年度に対応する部分の金額について、本文の取扱いによることに留意する。
5 本文の取扱いは、保険契約時の契約内容に基づいて適用するのであるが、その契約内容の変更があった場合、保険期間のうち当該変更以後の期間においては、変更後の契約内容に基づいて9‐3‐4から9‐3‐6の2の取扱いを適用する。
なお、その契約内容の変更に伴い、責任準備金相当額の過不足の精算を行う場合には、その変更後の契約内容に基づいて計算した資産計上額の累積額と既往の資産計上額の累積額との差額について調整を行うことに留意する。
なお、その契約内容の変更に伴い、責任準備金相当額の過不足の精算を行う場合には、その変更後の契約内容に基づいて計算した資産計上額の累積額と既往の資産計上額の累積額との差額について調整を行うことに留意する。
6 保険金又は給付金の受取人が被保険者又はその遺族である場合であって、役員又は部課長その他特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを被保険者としているときには、本文の取扱いの適用はなく、9‐3‐5の(2)の例により、その支払った保険料の額は、当該役員又は使用人に対する給与となる。
(定期付養老保険等に係る保険料)
9‐3‐6 法人が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする定期付養老保険等(養老保険に定期保険又は第三分野保険を付したものをいう。以下9‐3‐7までにおいて同じ。)に加入してその保険料を支払った場合には、その支払った保険料の額(特約に係る保険料の額を除く。)については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次により取り扱うものとする。
(1) 当該保険料の額が生命保険証券等において養老保険に係る保険料の額と定期保険又は第三分野保険に係る保険料の額とに区分されている場合 それぞれの保険料の額について9‐3‐4、9‐3‐5又は9‐3‐5の2の例による。
(2) (1)以外の場合その保険料の額について9‐3‐4の例による。
(特約に係る保険料)
9‐3‐6の2 法人が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする特約を付した養老保険、定期保険、第三分野保険又は定期付養老保険等に加入し、当該特約に係る保険料を支払った場合には、その支払った保険料の額については、当該特約の内容に応じ、9‐3‐4、9‐3‐5又は9‐3‐5の2の例による。
(保険契約の転換をした場合)
9‐3‐7 法人がいわゆる契約転換制度によりその加入している養老保険、定期保険、第三分野保険又は定期付養老保険等を他の養老保険、定期保険、第三分野保険又は定期付養老保険等(以下9‐3‐7において「転換後契約」という。)に転換した場合には、資産に計上している保険料の額(以下9‐3‐7において「資産計上額」という。)のうち、転換後契約の責任準備金に充当される部分の金額(以下9‐3‐7において「充当額」という。)を超える部分の金額をその転換をした日の属する事業年度の損金の額に算入することができるものとする。この場合において、資産計上額のうち充当額に相当する部分の金額については、その転換のあった日に保険料の一時払いをしたものとして、転換後契約の内容に応じて9‐3‐4から9‐3‐6の2までの例(ただし、9‐3‐5の2の表の資産計上期間の欄の(注)を除く。)による。
(払済保険へ変更した場合)
9‐3‐7の2 法人が既に加入している生命保険をいわゆる払済保険に変更した場合には、原則として、その変更時における解約返戻金相当額とその保険契約により資産に計上している保険料の額(以下9‐3‐7の2において「資産計上額」という。)との差額を、その変更した日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。ただし、既に加入している生命保険の保険料の全額(特約に係る保険料の額を除く。)が役員又は使用人に対する給与となる場合は、この限りでない。
(注)
(注)
1 養老保険、終身保険、定期保険、第三分野保険及び年金保険(特約が付加されていないものに限る。)から同種類の払済保険に変更した場合に、本文の取扱いを適用せずに、既往の資産計上額を保険事故の発生又は解約失効等により契約が終了するまで計上しているときは、これを認める。
2 本文の解約返戻金相当額については、その払済保険へ変更した時点において当該変更後の保険と同一内容の保険に加入して保険期間の全部の保険料を一時払いしたものとして、9‐3‐4から9‐3‐6までの例(ただし、9‐3‐5の2の表の資産計上期間の欄の(注)を除く。)により処理するものとする。
3 払済保険が復旧された場合には、払済保険に変更した時点で益金の額又は損金の額に算入した金額を復旧した日の属する事業年度の損金の額又は益金の額に、また、払済保険に変更した後に損金の額に算入した金額は復旧した日の属する事業年度の益金の額に算入する。
(契約者配当)
9‐3‐8 法人が生命保険契約(適格退職年金契約に係るものを含む。)に基づいて支払を受ける契約者配当の額については、その通知(据置配当については、その積立てをした旨の通知)を受けた日の属する事業年度の益金の額に算入するのであるが、当該生命保険契約が9‐3‐4の(1)に定める場合に該当する場合(9‐3‐6の(2)により9‐3‐4の(1)の例による場合を含む。)には、当該契約者配当の額を資産に計上している保険料の額から控除することができるものとする。
(注)
(注)
1 契約者配当の額をもっていわゆる増加保険に係る保険料の額に充当することになっている場合には、その保険料の額については、9‐3‐4から9‐3‐6までに定めるところによる。
2 据置配当又は未収の契約者配当の額に付される利子の額については、その通知のあった日の属する事業年度の益金の額に算入するのであるから留意する。
(長期の損害保険契約に係る支払保険料)
9‐3‐9 法人が、保険期間が3年以上で、かつ、当該保険期間満了後に満期返れい金を支払う旨の定めのある損害保険契約(これに類する共済に係る契約を含む。以下9‐3‐12までにおいて「長期の損害保険契約」という。)について保険料(共済掛金を含む。以下9‐3‐12までにおいて同じ。)を支払った場合には、その支払った保険料の額のうち、積立保険料に相当する部分の金額は保険期間の満了又は保険契約の解除若しくは失効の時までは資産に計上するものとし、その他の部分の金額は期間の経過に応じて損金の額に算入する。
(注) 支払った保険料の額のうち、積立保険料に相当する部分の金額とその他の部分の金額との区分は、保険料払込案内書、保険証券添付書類等により区分されているところによる。
(賃借建物等を保険に付した場合の支払保険料)
9‐3‐10 法人が賃借している建物等(役員又は使用人から賃借しているもので当該役員又は使用人に使用させているものを除く。)に係る長期の損害保険契約について保険料を支払った場合には、当該保険料については、次に掲げる区分に応じ、次による。
(1) 法人が保険契約者となり、当該建物等の所有者が被保険者となっている場合9‐3‐9による。
(2) 当該建物等の所有者が保険契約者及び被保険者となっている場合保険料の全部を当該建物等の賃借料とする。
(役員又は使用人の建物等を保険に付した場合の支払保険料)
9‐3‐11 法人がその役員又は使用人の所有する建物等(9‐3‐10括弧書に該当する建物等を含む。)に係る長期の損害保険契約について保険料を支払った場合には、当該保険料については、次に掲げる区分に応じ、次による。
(1) 法人が保険契約者となり、当該役員又は使用人が被保険者となっている場合保険料の額のうち、積立保険料に相当する部分の金額は資産に計上し、その他の部分の金額は当該役員又は使用人に対する給与とする。ただし、その他の部分の金額で所得税法上経済的な利益として課税されないものについて法人が給与として経理しない場合には、給与として取り扱わない。
(2) 当該役員又は使用人が保険契約者及び被保険者となっている場合保険料の額の全部を当該役員又は使用人に対する給与とする。
(保険事故の発生による積立保険料の処理)
9‐3‐12 法人が長期の損害保険契約につき資産に計上している積立保険料に相当する部分の金額は、保険事故の発生により保険金の支払を受けた場合においても、その支払により当該損害保険契約が失効しないときは損金の額に算入されないことに留意する。
(子会社等を整理する場合の損失負担等)
9‐4‐1 法人がその子会社等の解散、経営権の譲渡等に伴い当該子会社等のために債務の引受けその他の損失負担又は債権放棄等(以下9‐4‐1において「損失負担等」という。)をした場合において、その損失負担等をしなければ今後より大きな損失を蒙ることになることが社会通念上明らかであると認められるためやむを得ずその損失負担等をするに至った等そのことについて相当な理由があると認められるときは、その損失負担等により供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないものとする。
(注) 子会社等には、当該法人と資本関係を有する者のほか、取引関係、人的関係、資金関係等において事業関連性を有する者が含まれる(以下9‐4‐2において同じ。)。
(子会社等を再建する場合の無利息貸付け等)
9‐4‐2 法人がその子会社等に対して金銭の無償若しくは通常の利率よりも低い利率での貸付け又は債権放棄等(以下9‐4‐2において「無利息貸付け等」という。)をした場合において、その無利息貸付け等が例えば業績不振の子会社等の倒産を防止するためにやむを得ず行われるもので合理的な再建計画に基づくものである等その無利息貸付け等をしたことについて相当な理由があると認められるときは、その無利息貸付け等により供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないものとする。
(注) 合理的な再建計画かどうかについては、支援額の合理性、支援者による再建管理の有無、支援者の範囲の相当性及び支援割合の合理性等について、個々の事例に応じ、総合的に判断するのであるが、例えば、利害の対立する複数の支援者の合意により策定されたものと認められる再建計画は、原則として、合理的なものと取り扱う。
(個人の負担すべき寄附金)
9‐4‐2の2 法人が損金として支出した寄附金で、その法人の役員等が個人として負担すべきものと認められるものは、その負担すべき者に対する給与とする。
(仮払経理した寄附金)
9‐4‐2の3 法人が各事業年度において支払った寄附金の額を仮払金等として経理した場合には、当該寄附金はその支払った事業年度において支出したものとして法第37条第1項又は第2項《寄附金の損金不算入》の規定を適用することに留意する。
(手形で支払った寄附金)
9‐4‐2の4 令第78条《支出した寄附金の額》に規定する「支払」とは、法人がその寄附金を現実に支払ったことをいうのであるから、当該寄附金の支払のための手形の振出し(裏書譲渡を含む。)は、現実の支払には該当しないことに留意する。
(完全支配関係がある他の内国法人に対する寄附金)
9‐4‐2の5 内国法人が他の内国法人に対して寄附金を支出した場合において、当該内国法人と当該他の内国法人との間に一の者(法人に限る。)による完全支配関係がある場合には、当該内国法人及び当該他の内国法人の発行済株式等の全部を当該一の者を通じて個人が間接に保有することによる完全支配関係があるときであっても、当該寄附金の額には法第37条第2項《完全支配関係がある法人間の寄附金の損金不算入》の規定の適用があることに留意する。
(受贈益の額に対応する寄附金)
9‐4‐2の6 内国法人が当該内国法人との間に完全支配関係(法人による完全支配関係に限る。)がある他の内国法人に対して支出した寄附金の額が、当該他の内国法人において法第25条の2第2項《受贈益の益金不算入》に規定する受贈益の額に該当する場合であっても、例えば、当該他の内国法人が公益法人等であり、その受贈益の額が当該他の内国法人において法人税が課されない収益事業以外の事業に属するものとして区分経理されているときには、当該受贈益の額を当該他の内国法人において益金の額に算入することができないのであるから、当該寄附金の額は法第37条第2項《完全支配関係のある法人間の寄附金の損金不算入》に規定する「受贈益の額に対応するもの」に該当しないことに留意する。
(国等に対する寄附金)
9‐4‐3 法第37条第3項第1号《国等に対する寄附金》の国又は地方公共団体に対する寄附金とは、国又は地方公共団体(以下この款において「国等」という。)において採納されるものをいうのであるが、国立又は公立の学校等の施設の建設又は拡張等の目的をもって設立された後援会等に対する寄附金であっても、その目的である施設が完成後遅滞なく国等に帰属することが明らかなものは、これに該当する。
(最終的に国等に帰属しない寄附金)
9‐4‐4 国等に対して採納の手続を経て支出した寄附金であっても、その寄附金が特定の団体に交付されることが明らかである等最終的に国等に帰属しないと認められるものは、国等に対する寄附金には該当しないことに留意する。
(公共企業体等に対する寄附金)
9‐4‐5 日本中央競馬会等のように全額政府出資により設立された法人又は日本下水道事業団等のように地方公共団体の全額出資により設立された法人に対する寄附金は、法第37条第3項第1号《国等に対する寄附金》の国等に対する寄附金には該当しないことに留意する。
(災害救助法の規定の適用を受ける地域の被災者のための義援金等)
9‐4‐6 法人が、災害救助法が適用される市町村の区域の被災者のための義援金等の募集を行う募金団体(日本赤十字社、新聞・放送等の報道機関等)に対して拠出した義援金等については、その義援金等が最終的に義援金配分委員会等(災害対策基本法第40条第1項《都道府県地域防災計画》の都道府県地域防災計画又は同法第42条第1項《市町村地域防災計画》の市町村地域防災計画に基づき地方公共団体が組織する義援金配分委員会その他これと目的を同じくする組織で地方公共団体が組織するものをいう。)に対して拠出されることが募金趣意書等において明らかにされているものであるときは、法第37条第3項第1号《国等に対する寄附金》の地方公共団体に対する寄附金に該当するものとする。
(注) 海外の災害に際して、募金団体から最終的に日本赤十字社に対して拠出されることが募金趣意書等において明らかにされている義援金等については、特定公益増進法人である日本赤十字社に対する寄附金となることに留意する。
(災害の場合の取引先に対する売掛債権の免除等)
9‐4‐6の2 法人が、災害を受けた得意先等の取引先(以下9‐4‐6の3までにおいて「取引先」という。)に対してその復旧を支援することを目的として災害発生後相当の期間(災害を受けた取引先が通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間をいう。以下9‐4‐6の3において同じ。)内に売掛金、未収請負金、貸付金その他これらに準ずる債権の全部又は一部を免除した場合には、その免除したことによる損失の額は、寄附金の額に該当しないものとする。
既に契約で定められたリース料、貸付利息、割賦販売に係る賦払金等で災害発生後に授受するものの全部又は一部の免除を行うなど契約で定められた従前の取引条件を変更する場合及び災害発生後に新たに行う取引につき従前の取引条件を変更する場合も、同様とする。
既に契約で定められたリース料、貸付利息、割賦販売に係る賦払金等で災害発生後に授受するものの全部又は一部の免除を行うなど契約で定められた従前の取引条件を変更する場合及び災害発生後に新たに行う取引につき従前の取引条件を変更する場合も、同様とする。
(注) 「得意先等の取引先」には、得意先、仕入先、下請工場、特約店、代理店等のほか、商社等を通じた取引であっても価格交渉等を直接行っている場合の商品納入先など、実質的な取引関係にあると認められる者が含まれる。
(災害の場合の取引先に対する低利又は無利息による融資)
9‐4‐6の3 法人が、災害を受けた取引先に対して低利又は無利息による融資をした場合において、当該融資が取引先の復旧を支援することを目的として災害発生後相当の期間内に行われたものであるときは、当該融資は正常な取引条件に従って行われたものとする。
(自社製品等の被災者に対する提供)
9‐4‐6の4 法人が不特定又は多数の被災者を救援するために緊急に行う自社製品等の提供に要する費用の額は、寄附金の額に該当しないものとする。
(特定公益増進法人の主たる目的である業務に関連する寄附金であるかどうかの判定)
9‐4‐7 法第37条第4項《特定公益増進法人に対する寄附金》に規定する「当該法人の主たる目的である業務に関連する寄附金」であるかどうかは、当該法人の募金趣意書、事業計画書、募金計画書の写し等を総合勘案して判定する。
(資産を帳簿価額により寄附した場合の処理)
9‐4‐8 法人が金銭以外の資産をもって寄附金を支出した場合には、その寄附金の額は支出の時における当該資産の価額によって計算するのであるが、法人が金銭以外の資産をもって支出した法第37条第3項各号《指定寄附金等》及び第4項《特定公益増進法人に対する寄附金》に定める寄附金につき、その支出した金額を帳簿価額により計算し、かつ、確定申告書に記載した場合には、法人の計上した寄附金の額が当該資産の価額より低いためその一部につき当該確定申告書に記載がないこととなるときであっても、これらの項の規定を適用することができる。
(租税の損金算入の時期)
9‐5‐1 法人が納付すべき国税及び地方税(法人の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されないものを除く。)については、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める事業年度の損金の額に算入する。
(1) 申告納税方式による租税納税申告書に記載された税額については当該納税申告書が提出された日(その年分の地価税に係る納税申告書が地価税法第25条《申告》に規定する申告期間の開始の日前に提出された場合には、当該納税申告書に記載された税額については当該申告期間の開始の日)の属する事業年度とし、更正又は決定に係る税額については当該更正又は決定があった日の属する事業年度とする。ただし、次に掲げる場合には、次による。
イ 収入金額又は棚卸資産の評価額のうちに申告期限未到来の納付すべき酒税等に相当する金額が含まれている場合又は製造原価、工事原価その他これらに準ずる原価のうちに申告期限未到来の納付すべき事業に係る事業所税若しくは地価税に相当する金額が含まれている場合において、法人が当該金額を損金経理により未払金に計上したときの当該金額については、当該損金経理をした事業年度とする。
ロ 法人が、申告に係る地価税につき地価税法第28条第1項及び第3項《納付》並びに同条第5項の規定により読み替えて適用される通則法第35条第2項《申告納税方式による納付》に定めるそれぞれの納期限の日又は実際に納付した日の属する事業年度において損金経理をした場合には、当該事業年度とする。
(2) 賦課課税方式による租税賦課決定のあった日の属する事業年度とする。ただし、法人がその納付すべき税額について、その納期の開始の日(納期が分割して定められているものについては、それぞれの納期の開始の日とする。)の属する事業年度又は実際に納付した日の属する事業年度において損金経理をした場合には、当該事業年度とする。
(3) 特別徴収方式による租税納入申告書に係る税額についてはその申告の日の属する事業年度とし、更正又は決定による不足税額については当該更正又は決定があった日の属する事業年度とする。ただし、申告期限未到来のものにつき収入金額のうちに納入すべき金額が含まれている場合において、法人が当該金額を損金経理により未払金に計上したときの当該金額については、当該損金経理をした事業年度とする。
(4) 利子税並びに地方税法第65条第1項、第72条の45の2第1項又は第327条第1項《法人の道府県民税等に係る納期限の延長の場合の延滞金》の規定により徴収される延滞金納付の日の属する事業年度とする。ただし、法人が当該事業年度の期間に係る未納の金額を損金経理により未払金に計上したときの当該金額については、当該損金経理をした事業年度とする。
(事業税及び特別法人事業税の損金算入の時期の特例)
9‐5‐2 当該事業年度の直前の事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度。以下9‐5‐2において「直前年度」という。)分の事業税及び特別法人事業税の額(9‐5‐1により直前年度の損金の額に算入される部分の金額を除く。以下9‐5‐2において同じ。)については、9‐5‐1にかかわらず、当該事業年度終了の日までにその全部又は一部につき申告、更正又は決定(以下9‐5‐2において「申告等」という。)がされていない場合であっても、当該事業年度の損金の額に算入することができるものとする。この場合において、当該事業年度の法人税について更正又は決定をするときは、当該損金の額に算入する事業税の額は、直前年度の所得(直前年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度の個別所得金額。以下9‐5‐2において同じ。)又は収入金額に標準税率を乗じて計算し、特別法人事業税の額は、当該事業税の額(地方税法第72条の2第1項第1号イ《事業税の納税義務者等》に掲げる法人(以下9‐5‐2において「外形標準課税法人」という。)にあっては、直前年度の所得に同法第72条の24の7第1項第1号ハ《事業税の標準税率等》に係る率を乗じて計算した額)に特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律第7条《税額の計算》に規定する税率を乗じて計算するものとし、その後当該事業税及び特別法人事業税につき申告等があったことにより、その損金の額に算入した事業税及び特別法人事業税の額につき過不足額が生じたときは、その過不足額は、当該申告等又は納付のあった日の属する事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度)の益金の額又は損金の額に算入する。
(注)
(注)
1 個別所得金額とは、法第81条の18第1項《連結法人税の個別帰属額の計算》に規定する個別所得金額をいう。
2 標準税率は、次に掲げる法人の区分に応じ、それぞれ次による。
(1) 外形標準課税法人地方税法第72条の24の7第1項第1号イ《事業税の標準税率等》の標準税率に同号ハに係る標準税率を加算して得た税率又は同条第3項第1号イの標準税率に同号ハに係る標準税率を加算して得た税率による。
(2) (1)に掲げる法人以外の法人地方税法第72条の24の7に係る標準税率(同条第1項第1号又は第3項第1号に係る標準税率を除く。)による。
3 直前年度分の事業税及び特別法人事業税の額の損金算入だけを内容とする更正は、原則としてこれを行わないものとする。
(強制徴収等に係る源泉所得税)
9‐5‐3 法人がその支払う配当、給料等について源泉徴収に係る所得税を納付しなかったことにより、所得税法第221条《源泉徴収に係る所得税の徴収》の規定により所得税を徴収された場合において、その徴収された所得税を租税公課等として損金経理をしたときは、その徴収の基礎となった配当、給料等の区分に応じてその追加支払がされたものとする。
法人がその配当、給料等について所得税を源泉徴収しないでその所得税を納付した場合におけるその納付した所得税についても、同様とする。
法人がその配当、給料等について所得税を源泉徴収しないでその所得税を納付した場合におけるその納付した所得税についても、同様とする。
(注) 法人がその徴収され又は納付した所得税を仮払金等として経理し求償することとしている場合には、その経理を認める。
(道府県民税等の減免に代えて交付を受けた補助金等)
9‐5‐4 法人が道府県又は市町村から工場誘致条例又はこれに準ずる条例に基づいて補助金、奨励金等の交付を受けた場合において、当該補助金、奨励金等が実質的に道府県民税及び市町村民税の減免に代えて交付されたものであることが明らかであるときは、当該補助金、奨励金等は、その交付を受けた日の属する事業年度の益金の額に算入しない。
(内国法人に帰せられるものとして計算される金額を課税標準として当該内国法人に対して課せられる外国法人税)
9‐5‐5 令第78条の3第1項及び第2項《外国子会社から受ける配当等に係る外国源泉税等》に規定する外国法人税には、その所在地国でいわゆるパス・スルー課税が適用される事業体で、我が国においては外国法人に該当するものの所得のうち、その所在地国において構成員である内国法人に帰せられるものとして計算される金額に対して課される外国法人税が含まれる。
(第二次納税義務により納付し又は納入した金額の返還を受けた場合の益金不算入)
9‐5‐6 法人が法第39条第1項各号及び第2項各号《第二次納税義務に係る納付税額の損金不算入等》に掲げる国税又は地方税を納付し又は納入したことにより生じた損失の額が同条の規定により損金の額に算入されなかった場合において、その後の事業年度において求償により金銭その他の資産の給付を受けたときは、その給付を受けた資産の価額(同条第2項ただし書に規定する場合に該当して当該損失の額のうち損金の額に算入されたものがあるときは、その損金の額に算入された金額に相当する部分の金額を除く。)に相当する金額は、その給付を受けた日の属する事業年度の益金の額に算入しないものとする。
(賦課金、納付金等の損金算入の時期)
9‐5‐7 法人が納付すべき次に掲げる賦課金等については、それぞれ次に定める日の属する事業年度の損金の額に算入する。
(1) 公害健康被害の補償等に関する法律第52条第1項《汚染負荷量賦課金の徴収》に規定する汚染負荷量賦課金当該汚染負荷量賦課金の額につき、汚染負荷量賦課金申告書が提出された日(決定に係る金額については、当該決定の通知があった日)
(2) 公害健康被害の補償等に関する法律第62条第1項《特定賦課金の徴収》に規定する特定賦課金当該特定賦課金の額につき、決定の通知があった日
(3) 障害者の雇用の促進等に関する法律第53条第1項《障害者雇用納付金の徴収》に規定する障害者雇用納付金当該障害者雇用納付金の額につき、障害者雇用納付金申告書が提出された日(告知に係る金額については、当該告知があった日)
(役員等に対する罰科金等)
9‐5‐8 法人がその役員又は使用人に対して課された罰金若しくは科料、過料又は交通反則金を負担した場合において、その罰金等が法人の業務の遂行に関連してされた行為等に対して課されたものであるときは法人の損金の額に算入しないものとし、その他のものであるときはその役員又は使用人に対する給与とする。
(外国等が課する罰金又は科料に相当するもの)
9‐5‐9 法第55条第4項第1号《不正行為等に係る費用等の損金不算入》に規定する外国又はその地方公共団体が課する罰金又は科料に相当するものとは、裁判手続(刑事訴訟手続)を経て外国又はその地方公共団体により課されるものをいう。
(注) いわゆる司法取引により支払われたものも、裁判手続(刑事訴訟手続)を経て課された罰金又は科料に相当するものに該当することに留意する。
(外国等が納付を命ずる課徴金及び延滞金に類するもの)
9‐5‐10 法第55条第4項第3号《不正行為等に係る費用等の損金不算入》に規定する「外国若しくはその地方公共団体又は国際機関が納付を命ずるこれらに類するもの」とは、外国若しくはその地方公共団体又は国際機関が、法令等(市場における公正で自由な競争の実現を目的とするものに限る。)に基づいて納付を命ずるもの(同項第1号に掲げる罰金及び科料を除く。以下9‐5‐10において「外国課徴金」という。)をいう。
(注) 欧州連合によるカルテル等違反への制裁金は、外国課徴金に該当する。
(金銭債権の全部又は一部の切捨てをした場合の貸倒れ)
9‐6‐1 法人の有する金銭債権について次に掲げる事実が発生した場合には、その金銭債権の額のうち次に掲げる金額は、その事実の発生した日の属する事業年度において貸倒れとして損金の額に算入する。
(1) 更生計画認可の決定又は再生計画認可の決定があった場合において、これらの決定により切り捨てられることとなった部分の金額
(2) 特別清算に係る協定の認可の決定があった場合において、この決定により切り捨てられることとなった部分の金額
(3) 法令の規定による整理手続によらない関係者の協議決定で次に掲げるものにより切り捨てられることとなった部分の金額
イ 債権者集会の協議決定で合理的な基準により債務者の負債整理を定めているもの
ロ 行政機関又は金融機関その他の第三者のあっせんによる当事者間の協議により締結された契約でその内容がイに準ずるもの
(4) 債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額
(回収不能の金銭債権の貸倒れ)
9‐6‐2 法人の有する金銭債権につき、その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理をすることができる。この場合において、当該金銭債権について担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ貸倒れとして損金経理をすることはできないものとする。
(注) 保証債務は、現実にこれを履行した後でなければ貸倒れの対象にすることはできないことに留意する。
(一定期間取引停止後弁済がない場合等の貸倒れ)
9‐6‐3 債務者について次に掲げる事実が発生した場合には、その債務者に対して有する売掛債権(売掛金、未収請負金その他これらに準ずる債権をいい、貸付金その他これに準ずる債権を含まない。以下9‐6‐3において同じ。)について法人が当該売掛債権の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れとして損金経理をしたときは、これを認める。
(1) 債務者との取引を停止した時(最後の弁済期又は最後の弁済の時が当該停止をした時以後である場合には、これらのうち最も遅い時)以後1年以上経過した場合(当該売掛債権について担保物のある場合を除く。)
(2) 法人が同一地域の債務者について有する当該売掛債権の総額がその取立てのために要する旅費その他の費用に満たない場合において、当該債務者に対し支払を督促したにもかかわらず弁済がないとき
(注) (1)の取引の停止は、継続的な取引を行っていた債務者につきその資産状況、支払能力等が悪化したためその後の取引を停止するに至った場合をいうのであるから、例えば不動産取引のようにたまたま取引を行った債務者に対して有する当該取引に係る売掛債権については、この取扱いの適用はない。