9‐1‐1

(評価損の判定の単位)

9‐1‐1 法人がその有する資産について法第33条第2項《資産の評価換えによる評価損の損金算入》の規定による評価損を計上した場合において、その評価損の額の是否認の額を計算する単位は、次に掲げる資産についてはおおむね次の区分によるものとし、その他の資産についてはこれらに準ずる合理的な基準によるものとする。
(1) 土地等(土地の上に存する権利を含む。) 一筆(一体として事業の用に供される一団の土地等にあっては、その一団の土地等)ごと
(2) 建物 一棟(建物の区分所有等に関する法律第1条の規定に該当する建物にあっては、同法第2条第1項に規定する建物の部分)ごと
(3) 電話加入権(特殊な番号に係る電話加入権を除く。)電話局の異なるものごと
(4) 棚卸資産種類等の異なるものごと、かつ、令第68条第1項《資産の評価損の計上ができる事実》に規定する事実の異なるものごと
(5) 有価証券銘柄ごと

(評価損否認金等のある資産について評価損を計上した場合の処理)

9‐1‐2 法人が評価損否認金又は償却超過額のある資産につき令第68条第1項《資産の評価損の計上ができる事実》に規定する事実が生じたため当該評価損否認金又は償却超過額の全部又は一部を申告調整により損金の額に算入した場合には、その損金の額に算入した金額は、評価損として損金経理をしたものとして取り扱う。

(時価)

9‐1‐3 法第33条第2項《資産の評価換えによる評価損の損金算入》の規定を適用する場合における「評価換えをした日の属する事業年度終了の時における当該資産の価額」は、当該資産が使用収益されるものとしてその時において譲渡される場合に通常付される価額による。
 同条第4項《資産評定による評価損の損金算入》に係る令第68条の2第4項第1号《再生計画認可の決定等の事実が生じた場合の評価損の額》に規定する「当該再生計画認可の決定があった時の価額」についても、同様とする。

(評価換えの対象となる資産の範囲)

9‐1‐3の2 法人の有する金銭債権は、法第33条第2項《資産の評価換えによる評価損の損金算入》の評価換えの対象とならないことに留意する。
(注) 令第68条第1項《資産の評価損の計上ができる事実》に規定する「法的整理の事実」が生じた場合において、法人の有する金銭債権の帳簿価額を損金経理により減額したときは、その減額した金額に相当する金額については、法第52条《貸倒引当金》の貸倒引当金勘定に繰り入れた金額として取り扱う。

(資産について評価損の計上ができる「法的整理の事実」の例示)

9‐1‐3の3 令第68条第1項《資産の評価損の計上ができる事実》に規定する「法的整理の事実」には、例えば、民事再生法の規定による再生手続開始の決定があったことにより、同法第124条第1項《財産の価額の評定等》の評定が行われることが該当する。

(棚卸資産の著しい陳腐化の例示)

9‐1‐4 令第68条第1項第1号ロ《評価損の計上ができる著しい陳腐化》に規定する「当該資産が著しく陳腐化したこと」とは、棚卸資産そのものには物質的な欠陥がないにもかかわらず経済的な環境の変化に伴ってその価値が著しく減少し、その価額が今後回復しないと認められる状態にあることをいうのであるから、例えば商品について次のような事実が生じた場合がこれに該当する。
(1) いわゆる季節商品で売れ残ったものについて、今後通常の価額では販売することができないことが既往の実績その他の事情に照らして明らかであること。
(2) 当該商品と用途の面ではおおむね同様のものであるが、型式、性能、品質等が著しく異なる新製品が発売されたことにより、当該商品につき今後通常の方法により販売することができないようになったこと。

(棚卸資産について評価損の計上ができる「準ずる特別の事実」の例示)

9‐1‐5 令第68条第1項第1号ハ《棚卸資産の評価損の計上ができる事実》に規定する「イ又はロに準ずる特別の事実」には、例えば、破損、型崩れ、たなざらし、品質変化等により通常の方法によって販売することができないようになったことが含まれる。

(棚卸資産について評価損の計上ができない場合)

9‐1‐6 棚卸資産の時価が単に物価変動、過剰生産、建値の変更等の事情によって低下しただけでは、令第68条第1項第1号《棚卸資産の評価損の計上ができる事実》に掲げる事実に該当しないことに留意する。

(補修用部品在庫調整勘定の設定)

9‐1‐6の2 法人が法令の規定、行政官庁の指導、業界の申合せ等に基づき製品の製造を中止した後一定期間保有することが必要と認められる当該製品に係る補修用の部品を相当数量一時に取得して保有する場合には、保有開始年度(その製品の製造を中止した事業年度の翌事業年度その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度をいう。以下9‐1‐6の2において同じ。)以後の各事業年度において、当該事業年度終了の時における補修用の部品の帳簿価額の合計額が次の算式により計算した金額を超えるときにおけるその超える部分の金額に相当する金額以下の金額を損金経理により補修用部品在庫調整勘定に繰り入れることができるものとする。
(算式)

(注)
1 算式の「保有開始年度開始の時における補修用の部品の帳簿価額の合計額」は、保有開始年度以後の事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度)において取得した当該製品に係る補修用の部品がある場合には、その取得価額の合計額を加算した金額とする。
2 算式及び表の「保有期間の年数」は、当該補修用の部品が、法令の規定又は行政官庁の指導に基づき保有されているものである場合には当該法令の規定又は行政官庁の指導により保有すべきこととされている年数とし、業界の申合せその他の事由に基づき保有されているものである場合には、その保有すべき年数としてあらかじめ所轄税務署長(国税局の調査課所管法人にあっては、所轄国税局長)の確認を受けた年数とする。
3 算式及び表の「経過年数」は、保有開始年度開始の日以後当該事業年度終了の日までの期間に係る年数とし、1月未満の端数は1月とする。

(補修用部品在庫調整勘定の金額の益金算入)

9‐1‐6の3 補修用部品在庫調整勘定の金額は、その繰入れをした事業年度の翌事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度)の益金の額に算入する。

(補修用部品在庫調整勘定の明細書の添付)

9‐1‐6の4 補修用部品在庫調整勘定への繰入れを行う場合には、その繰入れを行う事業年度の確定申告書に補修用部品在庫調整勘定の繰入額の計算に関する明細を記載した書類を添付しなければならないものとする。

(固定資産について評価損の計上ができる「準ずる特別の事実」の例示)

9‐1‐16 令第68条第1項第3号ホ《固定資産の評価損の計上ができる事実》に規定する「イからニまでに準ずる特別の事実」には、例えば、法人の有する固定資産がやむを得ない事情によりその取得の時から1年以上事業の用に供されないため、当該固定資産の価額が低下したと認められることが含まれる。

(固定資産について評価損の計上ができない場合の例示)

9‐1‐17 法第33条第2項《資産の評価換えによる評価損の損金算入》の規定により固定資産の評価損が損金の額に算入されるのは、当該固定資産について令第68条第1項《資産の評価損の計上ができる事実》に規定する事実がある場合に限られるのであるから、当該固定資産の価額の低下が次のような事実に基づく場合には、法第33条第2項の規定の適用がないことに留意する。
(1) 過度の使用又は修理の不十分等により当該固定資産が著しく損耗していること。
(2) 当該固定資産について償却を行わなかったため償却不足額が生じていること。
(3) 当該固定資産の取得価額がその取得の時における事情等により同種の資産の価額に比して高いこと。
(4) 機械及び装置が製造方法の急速な進歩等により旧式化していること。

(土地の賃貸をした場合の評価損)

9‐1‐18 法人がその有する土地の賃貸に際して賃借人から権利金その他の一時金(賃借人に返還する旨の特約のあるものを除く。)を収受するとともに長期間にわたって当該土地を使用させることとしたため、当該賃貸後の価額がその帳簿価額に満たないこととなった場合には、令第138条第1項《借地権の設定等により地価が著しく低下する場合の土地等の帳簿価額の一部の損金算入》の規定の適用がないときであっても、その満たない部分に相当する金額をその賃貸をした日の属する事業年度においてその帳簿価額から減額することができる。

(減価償却資産の時価)

9‐1‐19 法人が、令第13条第1号から第7号まで《有形減価償却資産》に掲げる減価償却資産について次に掲げる規定を適用する場合において、当該資産の価額につき当該資産の再取得価額を基礎としてその取得の時からそれぞれ次に掲げる時まで旧定率法により償却を行ったものとした場合に計算される未償却残額に相当する金額によっているときは、これを認める。
(1) 法第33条第2項《資産の評価換えによる評価損の損金算入》当該事業年度終了の時
(2) 同条第4項《資産評定による評価損の損金算入》令第68条の2第4項第1号《再生計画認可の決定等の事実が生じた場合の評価損の額》に規定する当該再生計画認可の決定があった時
(注) 定率法による未償却残額の方が旧定率法による未償却残額よりも適切に時価を反映するものである場合には、定率法によって差し支えない。

(役員の範囲)

9‐2‐1 令第7条第1号《役員の範囲》に規定する「使用人以外の者でその法人の経営に従事しているもの」には、相談役、顧問その他これらに類する者でその法人内における地位、その行う職務等からみて他の役員と同様に実質的に法人の経営に従事していると認められるものが含まれることに留意する。

(法人である役員)

9‐2‐2 法第2条第15号《定義》に規定する役員には、会計参与である監査法人又は税理士法人及び持分会社の社員である法人が含まれることに留意する。

(代表権を有しない取締役)

9‐2‐3 会社法第2条第7号《定義》に規定する取締役会設置会社以外の株式会社の取締役が定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めたことにより代表権を有しないこととされている場合には、当該取締役は令第71条第1項各号《使用人兼務役員とされない役員》に掲げる役員のうち同項第1号に掲げる者には該当しないことに留意する。
 株式会社以外の法人の理事等で同様の事情にある者についても、同様とする。

(職制上の地位を有する役員の意義)

9‐2‐4 令第71条第1項第2号《使用人兼務役員とされない役員》に掲げる「副社長、専務、常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員」とは、定款等の規定又は総会若しくは取締役会の決議等によりその職制上の地位が付与された役員をいう。

(使用人としての職制上の地位)

9‐2‐5 法第34条第6項《使用人兼務役員》に規定する「その他法人の使用人としての職制上の地位」とは、支店長、工場長、営業所長、支配人、主任等法人の機構上定められている使用人たる職務上の地位をいう。したがって、取締役等で総務担当、経理担当というように使用人としての職制上の地位でなく、法人の特定の部門の職務を統括しているものは、使用人兼務役員には該当しない。

(機構上職制の定められていない法人の特例)

9‐2‐6 事業内容が単純で使用人が少数である等の事情により、法人がその使用人について特に機構としてその職務上の地位を定めていない場合には、当該法人の役員(法第34条第6項括弧書《使用人兼務役員とされない役員》に定める役員を除く。)で、常時従事している職務が他の使用人の職務の内容と同質であると認められるものについては、9‐2‐5にかかわらず、使用人兼務役員として取り扱うことができるものとする。

(使用人兼務役員とされない同族会社の役員)

9‐2‐7 令第71条第1項第5号《使用人兼務役員とされない同族会社の役員》の同族会社の役員には、次に掲げる役員が含まれることに留意する。
(1) 自らは当該会社の株式又は出資を有しないが、その役員と法第2条第10号《同族会社の定義》に規定する特殊の関係のある個人又は法人(以下9‐2‐7において「同族関係者」という。)が当該会社の株式又は出資を有している場合における当該役員
(2) 自らは当該会社の令第4条第3項第2号イからニまで《同族関係者の範囲》に掲げる議決権を有しないが、その役員の同族関係者が当該会社の当該議決権を有している場合における当該役員
(3) 自らは当該会社の社員又は業務を執行する社員ではないが、その役員の同族関係者が当該会社の社員又は業務を執行する社員である場合における当該役員
(注) 令第71条第1項第5号に規定する株主グループの所有割合の計算については、1‐3‐1《株式会社における同族会社の判定》から1‐3‐8《同一の内容の議決権を行使することに同意している者がある場合の同族会社の判定》までの取扱いを準用する。

(同順位の株主グループ)

9‐2‐8 令第71条第1項第5号(使用人兼務役員とされない同族会社の役員)の規定を適用する場合において、第1順位の株主グループと同順位の株主グループがあるときは当該同順位の株主グループを含めたものが第1順位の株主グループに該当し、これに続く株主グループが第2順位の株主グループに該当することに留意する。
(注) 例えば、A株主グループ及びB株主グループの株式の所有割合がそれぞれ20%、C株主グループ及びD株主グループの株式の所有割合がそれぞれ15%の場合には、A株主グループ及びB株主グループが第1順位の株主グループに該当しその株式の所有割合は40%となり、C株主グループ及びD株主グループが第2順位の株主グループに該当しその株式の所有割合は30%となる。

(債務の免除による利益その他の経済的な利益)

9‐2‐9 法第34条第4項《役員給与》及び法第36条《過大な使用人給与の損金不算入》に規定する「債務の免除による利益その他の経済的な利益」とは、次に掲げるもののように、法人がこれらの行為をしたことにより実質的にその役員等(役員及び同条に規定する特殊の関係のある使用人をいう。以下9‐2‐10までにおいて同じ。)に対して給与を支給したと同様の経済的効果をもたらすもの(明らかに株主等の地位に基づいて取得したと認められるもの及び病気見舞、災害見舞等のような純然たる贈与と認められるものを除く。)をいう。
(1) 役員等に対して物品その他の資産を贈与した場合におけるその資産の価額に相当する金額
(2) 役員等に対して所有資産を低い価額で譲渡した場合におけるその資産の価額と譲渡価額との差額に相当する金額
(3) 役員等から高い価額で資産を買い入れた場合におけるその資産の価額と買入価額との差額に相当する金額
(4) 役員等に対して有する債権を放棄し又は免除した場合(貸倒れに該当する場合を除く。)におけるその放棄し又は免除した債権の額に相当する金額
(5) 役員等から債務を無償で引き受けた場合におけるその引き受けた債務の額に相当する金額
(6) 役員等に対してその居住の用に供する土地又は家屋を無償又は低い価額で提供した場合における通常取得すべき賃貸料の額と実際徴収した賃貸料の額との差額に相当する金額
(7) 役員等に対して金銭を無償又は通常の利率よりも低い利率で貸し付けた場合における通常取得すべき利率により計算した利息の額と実際徴収した利息の額との差額に相当する金額
(8) 役員等に対して無償又は低い対価で(6)及び(7)に掲げるもの以外の用役の提供をした場合における通常その用役の対価として収入すべき金額と実際に収入した対価の額との差額に相当する金額
(9) 役員等に対して機密費、接待費、交際費、旅費等の名義で支給したもののうち、その法人の業務のために使用したことが明らかでないもの
(10) 役員等のために個人的費用を負担した場合におけるその費用の額に相当する金額
(11) 役員等が社交団体等の会員となるため又は会員となっているために要する当該社交団体の入会金、経常会費その他当該社交団体の運営のために要する費用で当該役員等の負担すべきものを法人が負担した場合におけるその負担した費用の額に相当する金額
(12) 法人が役員等を被保険者及び保険金受取人とする生命保険契約を締結してその保険料の額の全部又は一部を負担した場合におけるその負担した保険料の額に相当する金額

(給与としない経済的な利益)

9‐2‐10 法人が役員等に対し9‐2‐9に掲げる経済的な利益の供与をした場合において、それが所得税法上経済的な利益として課税されないものであり、かつ、当該法人がその役員等に対する給与として経理しなかったものであるときは、給与として取り扱わないものとする。

(継続的に供与される経済的利益の意義)

9‐2‐11 令第69条第1項第2号《定期同額給与の範囲等》に規定する「継続的に供与される経済的な利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるもの」とは、その役員が受ける経済的な利益の額が毎月おおむね一定であるものをいうのであるから、例えば、次に掲げるものはこれに該当することに留意する。
(1) 9‐2‐9の(1)、(2)又は(8)に掲げる金額でその額が毎月おおむね一定しているもの
(2) 9‐2‐9の(6)又は(7)に掲げる金額(その額が毎月著しく変動するものを除く。
(3) 9‐2‐9の(9)に掲げる金額で毎月定額により支給される渡切交際費に係るもの
(4) 9‐2‐9の(10)に掲げる金額で毎月負担する住宅の光熱費、家事使用人給料等(その額が毎月著しく変動するものを除く。
(5) 9‐2‐9の(11)及び(12)に掲げる金額で経常的に負担するもの

(定期同額給与の意義)

9‐2‐12 法第34条第1項第1号《定期同額給与》の「その支給時期が1月以下の一定の期間ごと」である給与とは、あらかじめ定められた支給基準(慣習によるものを含む。)に基づいて、毎日、毎週、毎月のように月以下の期間を単位として規則的に反復又は継続して支給されるものをいうのであるから、例えば、非常勤役員に対し年俸又は事業年度の期間俸を年1回又は年2回所定の時期に支給するようなものは、たとえその支給額が各月ごとの一定の金額を基礎として算定されているものであっても、同号に規定する定期同額給与には該当しないことに留意する。
(注) 非常勤役員に対し所定の時期に確定した額の金銭を交付する旨の定めに基づいて支給する年俸又は期間俸等の給与のうち、次に掲げるものは、同項第2号《事前確定届出給与》に掲げる給与に該当する。
(1) 同族会社に該当しない法人が支給する給与
(2) 同族会社が支給する給与で令第69条第4項《事前確定届出給与》に定めるところに従って納税地の所轄税務署長に届出をしているもの

(特別の事情があると認められる場合)

9‐2‐12の2 令第69条第1項第1号イ《定期同額給与の範囲等》に規定する「3月経過日等後にされることについて特別の事情があると認められる場合」とは、例えば、法人の役員給与の額がその親会社の役員給与の額を参酌して決定されるなどの常況にあるため、当該親会社の定時株主総会の終了後でなければ当該法人の役員の定期給与(法第34条第1項第1号《定期同額給与》に規定する定期給与をいう。以下9‐2‐12の2において同じ。)の額の改定に係る決議ができない等の事情により定期給与の額の改定が3月経過日等(令第69条第1項第1号イに規定する3月経過日等をいう。)後にされる場合をいう。

(職制上の地位の変更等)

9‐2‐12の3 令第69条第1項第1号ロ《定期同額給与の範囲等》に規定する「役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情」とは、例えば、定時株主総会後、次の定時株主総会までの間において社長が退任したことに伴い臨時株主総会の決議により副社長が社長に就任する場合や、合併に伴いその役員の職務の内容が大幅に変更される場合をいう。
(注) 役員の職制上の地位とは、定款等の規定又は総会若しくは取締役会の決議等により付与されたものをいう。

(経営の状況の著しい悪化に類する理由)

9‐2‐13 令第69条第1項第1号ハ《定期同額給与の範囲等》に規定する「経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」とは、経営状況が著しく悪化したことなどやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情があることをいうのであるから、法人の一時的な資金繰りの都合や単に業績目標値に達しなかったことなどはこれに含まれないことに留意する。